木鋏ケース | Diagonal R/kのエピソード

ハンドメイド木鋏ケース

Diagonal R/kは、革ケースづくりをはじめて間もない頃に原型ができました。このモデルは初期の頃の物だけあってわたしにとっても思い出深いものです。これで既存のハサミケースの駄目な部分をほとんど払拭したといってもよい仕上がりになったと勝手に思ったものでした。

ほとんどの市販の木鋏ケースで、最も軟弱な部分は幅30mm程しかないベルトループだと思います。Diagonal R/kでは、ベルトループを幅広にしています。

これ以来、ケースが何かに引っかかってベルトループがちぎれるという事が一切なくなりました。また、市販の物とは違うこの構造上、そもそも引っかかるということ自体がほぼなくなりました。

しかし、何と言ってもこのフォルムの美しさは既存の木鋏ケースにはないものだと思いませんか?

庭でもファッションでも色々とにぎやかなのが好みの方もいると思います。そんな方にはシンプル過ぎて物足りない鋏ケースかもしれません。でも、そういうものもたまにはいいですが、常に身につけるものは、とことんシンプルでなければいけないというのが当時のわたしの方針でした。そんな思いがこのハサミケースには詰まっています。

Diagonal R/kの形状は、一般によく見かける木鋏ケースの形状とは少し違うと思います。まず、縫い目が片側にしかありません。よく目にするものは両側に縫い目があります。Diagonal R/kにハサミを挿入すると冒頭画像のようになります。

わずかにハサミが右に傾いて入っているのがわかると思います。当然ですが一般的なものは傾くことなくまっすぐにおさまります。

実は、このように右に傾いて収納されているのにはわけがあります。それは右利きの自分がハサミを取り出しやすい形状にしたいと考えたからです。少し右に傾いていた方が、スムーズな出し入れができるのではないかと単純に思ったのです。
体の真横につける人や、真後ろにつける人など人によって、使いやすい位置に鋏ケースをつけると思いますが、自分は木鋏ケースを常に真後ろにつけているため、このように傾くことでよりスムーズに出し入れができるというわけです。このハサミケースの形状はそのような欲求から自然と生まれました。