当ページのリンクには広告が含まれるものがあります
わたしは普段、木鋏、剪定鋏、鋸を腰につけて剪定仕事をしています。地方によって多少違いがあるかもしれませんが、大体この3つをセットで使っている本職の方が多いのではないでしょうか。で、剪定鋏はフェルコというメーカーのものを使っています。この革ケースはそのフェルコを入れるために作成したものです。
フェルコって何?という方には、フェルコのレビュー記事がありますのでよろしければどうぞ。
⇒フェルコ剪定鋏レビュー | 剪定のプロである植木屋の評価は?
フェルコを手にしたきっかけ
わたしがフェルコの鋏を知ったのは、贈り物としてもらったことがきっかけでした。昔一年一緒に働いていたドイツの研修生クリストフさんからお別れの際に貰ったものです。フェルコ自体はスイス製のようですが、クリスさんが言うには、ドイツでは最もよく使われる鋏なんだということでした。
その時は、へ~そうなんだ。異国のツールをありがとぅ!と感謝しつつ頂いたものの、当時働いていた会社では、剪定鋏を使うことができなかったのです。狭いコミュニティーの中には、理不尽とも思えるルールが、多かれ少なかれあるものですよね。だから、貰ったものの、使う機会がなく何年も放置状態で、その良さに気づくのはずっと後になってからでした。
なぜ、剪定鋏はダメなのか?
ちなみに、剪定鋏を使わせてもらえなかったのには、それなりの理由があります。一言で言うと、それは仕事が雑になるからです。剪定鋏は、細い枝から太い枝までバシバシ切れるという優れものですが、構造上細かいところに入っていくのが苦手で、綺麗な仕事をするには少し不向きなところがあります。ところが、使い勝手の良さから多くの植木屋さんは剪定鋏を多用して、汚い仕事をしています。
「そういうんじゃいけないよ」ということで、半人前のわたしたちは、植木鋏と鋸だけを持たされて仕事をしていました。
ちなみに、詳しくない人のために説明すると、植木鋏というのはこういうものです。植木を切る用途の鋏全般を植木鋏という場合もありますが、一般的には、両刃のこういう形状のものを植木鋏(木鋏)といい、片刃のものを剪定鋏と言って区別しています。
細かいところまで入るこの鋏と、あとは鋸のみ。それで作業することで、枝の切り残しがない美しい仕事ができるという理屈です。特に、幹や枝の美しさがポイントになる雑木類の剪定では、汚い剪定は致命傷ですから。
どうです?いかにも職人の世界って感じじゃあないですか?
わたしはこの話嫌いですけどね。
馬鹿と鋏は使いよう
まさに、このことわざの通り、それを使う側の技量や使い方の問題ですから、別に剪定鋏が悪いわけではないんです。
どういう場面で使うものか、どういう時には使ってはいけないか、ということをきちんと教えるべきじゃんねー?そんな風に思うわけですが、実際問題マンツーマンで手取り足取り仕事を教えられるわけではないので、右も左もわからない素人同然の目くそ鼻くそに、剪定鋏なんていう悪魔ツールを間違っても渡してはならないという信念は理解できます。
そして、植木鋏と鋸しか知らなければ、何てことはない、別段困りはしないのです。ま、そういうことですね。
フェルコ剪定鋏に惹かれる
そんなわけで、わたしがこの鋏をまともに使い出したのは、クリスさんとの別れから5年以上経って独立してからでした。
植木屋になって久しく、独立までしていて何ですが、剪定鋏の使い道がわからず、はじめは枝ごみを細かくする際、鉈の補助として、太めの枝を切るのに使い始めました。でも、その時はなかなかよく切れる鋏だとは思ったものの、植木鋏と鋸みたいなレギュラーメンバーに加入する大型新人というのでは全然なく、困った時の助っ人外国人的ポジションでした。は~い、スイス生まれのドイツ人来てー、という感じ。そこから徐々に信頼を勝ち取って、いつの間にかレギュラーメンバーに定着したという経緯です。
フェルコが、今の常駐さんに至るまでの間、日本製を起用したこともありましたが、線の細い日本製は、植木鋏と鋸の補佐と枝バラシに使うというわたしの使う用途には合っていませんでした。
これは和風建築と洋風建築の違いのようなものです。瀟洒できめ細やかなものと揺るぎない強さを持つものと、どちらが優れているというものではないです。たまたま、わたしの使い方にはこれが合っていたということです。屈強なボディーのフェルコが持つ安心感、これも私がこの鋏を使っている一つの理由になります。
フェルコのための革ケースClassic Felco
今回は、革ケースの話が全く出てきてませんね。
えーそうですよ。そのまさかです。このまま終わりますよ。
まあ、そういうわけにもいかない?ので、もう少し続けます。
実は、市販でもこのようにフェルコが出していると思しき革ケースは売られてるんですよね。見ての通り、別になんてこともないものです。FELCOのロゴが入っているというだけで、他の汎用品と大して変わりません。
これを見ると、道具の革ケースをせっせと作っているわたしの頬には一筋の涙が伝いますね。でも、一般的に道具の革ケースなんてこの程度の位置づけです。こんなとこに金なんて掛けてられっかよー、というわけですね。
いいですよー、あーいいですよ~そっちがその気ならこっちはこっちだ!と訳の分からないことをつぶやきつつ、これはつくるしかない、というわけで完成したのが、フェルコのための剪定鋏ケースClassic Felcoです。
これが初めて作ったものなんですが、それから何年も経ち、人に頼まれたりもして、このスタンダードタイプは何個も作りました。そして、そのたびに少しずつ改良して新しくなったのが、冒頭にのせた Classic Felco 2です。まあ、ぱっと見には何も変わりませんがね。細かいところを変えて行ってるんですよ。
フェルコのための新しいスタンダード革ケース
Classic Felco 2
普通、鋏が主で、ケースはおまけ程度です。だって、道具を入れる入れ物に過ぎないのですから。でも、そこをちょっと頑張ると、道具も映えるというか、立派に見えるってもんですよね。
それにぷろふぇっしょなるなら、市販のケースに入れているのと比べて、こっちを使ってる人の方が明らかに仕事できそうに見えるじゃないですか~。
「オイオイ、ふざけんな」って怒られそうですけど、仕事できなくても、できそうに見えるって、滅茶苦茶重要なんですよ?なにせ安心感が違いますからねw
そして、木鋏ケースでも剪定鋏ケースでも自作できるということは、必要に応じてカスタマイズできるところがいいです。例えば、鋏ケースは中にゴミがたまりやすいですよね。それを逃がす工夫もハンドメイドならできます。
このフェルコの鋏ケースは、下の部分にこんな風に穴が開いていますので、細かい切りクズくらいなら落ちていくようになっています。こんな風に鋏ケースをつくるときは、できるだけゴミが抜けるようなつくりにしています。
それでこの穴は改良のたびに大きく広がっているんです。それでも葉っぱが一枚入ると、それを機に詰まり始めるんですけどね。でも細かい切りクズであれば、問題なく下に落ちていくつくりになっています。
そんなわけで、今回も無難にフェルコのための革ケースを仕上げることができました。
フェルコのための革ケースは他にも2種類
こちらもご覧ください。