前回の記事で、刈込鋏の刃を保護するための革ケース「TIP」を紹介しました。
TIPは主に、刈込鋏を保管しておく際の刃の保護ケースです。
当然ですが、刈込鋏を使って仕事をする時には外します。
では作業中、刈込鋏を使っていない時はどうするのか?一般的には、そのへんに置いておくことになると思います。
刈込鋏は剪定鋏などと違って柄が長いので、ちょっと地面に置いたり、どこかへ立てかけたりすること自体はそれほど面倒ではありません。
でも、
腰に下げておけたら、もっと楽なんじゃないか?
そう考えてつくったのが、今回の刈込鋏ホルダーです。
名前は、FRUSTUMです。
TIPと同じ赤い糸のクロスステッチを入れた、お揃いのホルダーです。
刈込鋏にもホルダーがある
普段腰につけて使っている木鋏や剪定鋏には、それぞれケースがあります。
使う→ケースへ戻す→また使う
仕事中はそれを何度も繰り返します。
もし鋏を使うたびに、
地面から拾う→使い終わったら置く→また必要になったら拾う
そんな人はまずいないでしょうね。
だから普通は剪定道具は腰にケースを下げています。
では、刈込鋏はどうなのか。
刈込鋏の場合は柄が長いため、使わない時には地面に置いたり、木や塀などへ立てかけたりする使い方が、割と一般的だと思います。
わたし自身も以前はそうしていました。
ところがある時、刈込鋏を腰に保持するためのホルダーというものが売られていることを知りました。
そんなものがあることを、それまで知りませんでした。知っている人には今更ですが。
見つけた時には、「なるほど、そんなものがこの世にあったのか」とちょっと感心したものです。
そして、例によって、だったら自分でもつくってみよう。ということになります(笑)
以前にも刈込鋏ホルダーをつくっています
実は、刈込鋏ホルダーをつくるのは今回が初めてではありません。以前にも一度製作し、その後さらにリメイクまでしています。
そのあたりをもう一度ここで詳しく書くと、同じ話の繰り返しになってしまいますので、気になる方は以前の記事をご覧ください。
この話を簡単にいえば、最初につくったものを使ってみて、「ここをもう少しこうした方がいい」というところが出てきたので、つくり直しという話です。
ところが、そのリメイク版も実際に使ってみると、
まだダメでした(笑)
ガッカリです。
革ケースというのは、つくった時には、
「これは完璧だ!」
と思っているものなんですけどね。
実際に仕事で使うと、そんなに甘くありません。
前のホルダーは、まだ刈込鋏の位置が低すぎた
一番気になったのは、腰から下げた時の刈込鋏の高さです。
ホルダーで保持する位置が低いと、それだけ刈込鋏全体が腰から下へぶら下がります。すると歩いた時、脚立に上がった時に、刈込鋏の刃先がひざ下のふくらはぎ辺りに当たります。
前回のリメイクでもホルダーを短くして改善したのですが、
まだでした。
そこで今回は、さらに高い位置で刈込鋏を保持できるように改良しました。


FRUSTUMの下側は少しすぼまった形になっていますので、刈込鋏を差し込んでいくと、刃と柄の境目あたりで引っ掛かって止まります。
刃そのものは下へ露出する格好になります。

試しに腰につけた感じでは、以前より刈込鋏の位置がしっかり上がりました。これなら歩くたびに脚へ当たるようなことも、かなり減るはずです。
今度は鋏が引っ掛からないようにしました
もう一つ、以前のホルダーで気になっていたところがあります。
刈込鋏の出し入れです。以前のリメイクで、革の合わせ目の縫い方を変更しました。
つくった時には特に問題ないと思っていたのですが、実際に刈込鋏を差してみると、その部分へ微妙に引っ掛かることがありました。
ほんの少しのことです。
それでも仕事中に何度も出し入れするものなので、こういう小さな引っ掛かりが結構イラっとしてきます。
今回はその部分も見直しました。
鋏を差し込む内側になるべく余計な段差や引っ掛かりができないようにしています。
試しに何度か出し入れした感じでは、かなりスムーズ。前回より使いやすくなっています。
幅広のベルトループ。でも表からは見せたくない
刈込鋏はそれなりに重量があります。
ですので、ホルダーを腰につけるベルトループは、設計上可能な範囲でなるべく幅広くしました。

ここは幅が広い方が腰で安定しますし、丈夫にもなります。
ただし、表から見た時は、ホルダー本体だけが見えるようにしたかったので、大きなベルトループは本体の裏に隠れるよう、サイズや位置を調整しました。
でも前から見ればなるべく存在を消す。
こういうところは、使いやすさだけ考えていても決まりませんし、見た目だけ考えていてもうまくいきません。
両方の折り合いをつけながら形を決めていきます。
TIPとお揃いの赤いクロスステッチ
今回使ったのは、厚さ3~3.3mmほどのヌメ革です。
そして縫い方は、赤い糸のクロスステッチ。

これは前の記事で紹介したTIPとお揃いです。
TIPでも書きましたが、赤いクロスステッチを入れると、仕事道具としてはだいぶかわいらしい雰囲気になります。FRUSTUMはTIPより大きいため、こちらの方がクロスステッチの存在感も強く感じます。
普通に平縫いしても機能上はまったく問題ありません。
でも、せっかく自分でつくるなら、
使えるだけではなく、見た目も萌えるものがいいです♡
ところどころに入れたスリット
今回のFRUSTUMには、革の端に少しスリットが入っています。

TIPにも似たような切れ込みを入れているので、二つを並べた時にデザインとしてまとまりが出るようにと考えました。
FRUSTUMの上下でもスリットの大きさを変えて変化を付けていますが、全体を見た時に共通した雰囲気になるよう調整しています。
こういったところは、ホルダーとしての機能だけを考えれば必ずしも必要ではありません。
ただ、TIPとFRUSTUMは、せっかく同時につくったお揃いの革製品です。赤いクロスステッチだけでなく、細かな形にも少し共通点を持たせています。
FRUSTUMって名前なに?
完成したホルダーを横から見ると、下へ向かって少しすぼまった形をしています。

そこで今回、FRUSTUMという名前を付けました。
frustumというのは、円錐などの先端を切り落としたような形を指す言葉です。
FRUSTUMも、上が広く下が狭い、少し円錐台のような形をしています。その見た目から名前を取りました。
これまでつくった刈込鋏ホルダーにも似た基本構造ではあるのですが、今回は全体のバランスを見直して少し長めの形にしています。実用だけを考えれば、必ずしもここまで長さを取る必要はありません。
でも完成してみると、以前のホルダーよりこちらの方が、ずっと見た目のバランスがよくまとまったように思います。
機能を改善するつもりでつくり直したものですが、結果として見た目も気に入りました。
二種類ある刈込鋏ホルダー
わたしが知る限り、市販されている刈込鋏ホルダーには大きく分けて二つの考え方があります。
一つはFRUSTUMのように、柄のあたりだけをホールドして刃を露出させるタイプ。
もう一つは、刃の部分まで革ですっぽり覆ってしまうタイプです。
刃を覆ってしまうタイプには大きなメリットがあります。
腰へ下げたまま歩いても、刃が露出しません。ですので、自分の身体を刃で傷つける可能性も減ります。
それだけでなく、現場で車や壁などの近くを歩いた時、露出した刃でものを傷つけてしまう心配も少なくなります。安全面だけ考えれば、すっぽり覆うタイプはかなり魅力的です。
では全部すっぽりタイプがいいのかというと、これにも欠点があります。
刃全体を覆うため、当然革をたくさん使います。ケース自体も大きくなります。腰にぶら下げる道具としては、少しかさばります。保管しておく時も邪魔です。
道具っていうのはコンパクトに越したことはないですからね。
そういう意味で、FRUSTUMのような小さなホルダーなら、必要最低限の革で軽くコンパクトにつくることができます。
どちらも一長一短です。
このあたりのメリットデメリットについては、今回FRUSTUMをつくりながら、ちょっと考えたことがありました。ただし、その話はもう少し先に取っておきます。
実際の使い心地はこれから
FRUSTUMはまだ本格的に仕事では使っていません。
ただ、腰につけて刈込鋏を何度も出し入れしてみた感じでは、保持位置はかなり良くなりました。以前のものより刈込鋏が上へ収まりますし、出し入れの時の引っ掛かりもありません。ベルトループの位置も、今のところ問題なさそうです。
ですので、
現時点では、
かなりいい感じ。
……なんですが、
こういうことを言っておいて、実際に仕事で使い始めると、
「なんだコレ、使っかえねぇなぁ(怒)」
というところが出てくるんですよね(笑)
これまで何度もそんな過ちを繰り返してきました。
FRUSTUMが今度こそ完成形になるのか。それとも、またどこかを変えたくなるのか。そのあたりは、これから使いながら確認していきます。
TIPとFRUSTUMには、まだ続きがあります
今回つくったFRUSTUMは、前の記事で紹介したTIPと同じ赤いクロスステッチを使っています。似たスリットも入れました。
二つを並べると、

こんな感じです。
刈込鋏のためにつくった、
保管用のTIP。
そして、
作業中に使うFRUSTUM。
用途のまったく違う二つの革製品です。
これで今回の刈込鋏まわりの革ケースづくりは終わり……
ではありません。
実は、TIPとFRUSTUMには、まだ続きがあります。
続きは次の記事で。
