レザークラフトの手縫いに必要な道具と糸の種類の解説!~初心者編~

レザークラフトの手縫いの特徴を簡単に

レザークラフトの手縫いでまず特徴的なのは、布と違い革をそのまま縫っていくことができないので、下穴をあけてから縫う必要があるというところです。そして、専用の縫い穴をあける道具の形状によって、縫い目の独特な風合いが生まれ、その縫い目も表と裏で感じが変わるところが、最大の特徴だと思います。
もう一つの特徴として、手縫いの縫い目は、ミシンの縫い目に比べて、切れてもほつれにくいと言われています。ミシンと違い手縫いの場合、糸の両端に付けた針を表裏交互に完全に通して縫い進めるという縫い方の違いによってこの違いが出ます。
ちなみに、売り物の革製品のほとんどはミシン縫いです。手縫いには非常に手間がかかって高価になってしまうからです。均一な仕事をするミシンと違い、手縫いでは使う革や状態によって締め加減を調整することができ、何と言っても縫い目が美しく仕上がるので、レザークラフトを楽しむなら、ミシンではなく手縫いをやってみてもらいたいと思っています。
レザークラフトの作業工程の中で、何を楽しいと思うかは人によって違うと思いますが、わたしは手縫いの工程が結構好きですね。無心に縫い進め、一目一目糸が通って行って、きれいに縫い上がることに喜びを感じてしまいます。

手縫いに必要な縫い穴をあける道具

菱目打ち

この道具が手縫いに特徴的な縫い目をもたらす縫い穴をあける専用道具の菱目打ちです。
上の菱目打ちは2本と4本ですが、1本から10本以上のものまで一度にあけられる穴の数にバリエーションがあります。その他の違いとして、目と目の間隔にもバリエーションがあります。幅としては、普通1.5㎜~5㎜ピッチくらいまであるので、作りたいものによって縫い目の細かさを変える形になります。
ですので、初心者の方が、最初にどれを買うべきかは断言できませんが、一般的に3~4㎜幅くらいが無難なところだと思います。そして、少しワイルドな感じのものを作るなら5㎜幅がいいかなと思います。そして、目の数は曲線用に2本目と直線用に4本目か6本目くらいのところをはじめは持っておくと良いと思います。

打ち具

革に手縫いの菱目をあける方法はいくつかありますが、一般的なのは今挙げた菱目打ちを打ち具で叩いてあける方法です。その際は木槌やプラスチックハンマーを使うといいです。
叩くということだけで言うなら、プラスチックハンマーの方が音も小さいですし、叩きやすいと思います。

ゴム板

菱目打ちで革に縫い穴をあける際には、下敷きとしてゴム板が最適です。ゴム板と言っても硬さで言うとプラスチックまな板に近い感じです。上記のように大きいサイズから短冊サイズまで大きさのバリエーションもあります。

レザークラフトの防音対策 

菱目打ちを木槌でカンカン叩くとまあまあ大きな音と振動があります。日中に一軒家でやる分には大丈夫かと思いますが、集合住宅だったりすると、音と振動は気になると思います。このようなフェルトのシートをゴム板の下に敷くとそれが多少軽減できます。
それからボタンの取り付けなどの時も打ち具を使って作業するため、騒音が気になる人はこのような対策が必要かもしれません。
ホームセンター覗いてみるみると、フェルトでなくても、硬めのスポンジみたいな素材で代用品が見つかると思います。

上記のような防音対策をしても、音や振動が気になる場合は、こちらをおすすめします。
菱目打ちで叩かず、手で押し当て革面に跡をつけた上で、そこに菱ギリで一個ずつ穴をあけていく方法です。二度手間のようですが、いつもわたしはこの方法で菱目の穴をあけています。というのも、音が出ないということはもちろんですが、この方法だと穴がきれいにあくのと穴の大きさも菱ギリのサイズで簡単に調節できるためです。

菱目打ちの場合、打ち込み過ぎると穴が大きくなり、打ち込みが少ないと穴が小さすぎるということが起きやすいですが、大中小とサイズがある菱ギリを使えば、常に均一なサイズの穴をきれいにあけることが可能です。

菱ギリで革に穴をあける際は下敷きが必要です。この場合、ゴム板では固すぎて使えないので、このようなコルクの板が便利です。

手縫いに必要な線を引く道具

革の縁を縫っていく際は、縁に沿って等幅の線を引き、その線の上に等間隔で菱目をあけていきます。その線を引く時に使う道具として、レザークラフトでは以下3つの工具のどれかを使うことが多くなると思います。

上記、ネジ捻、 ステッチンググルーバー 、ディバイダー では引ける線が違います。イメージとして、ネジ捻はインクの出ないボールペンで跡をつける感じ、 ステッチンググルーバーは溝を掘って線を引く感じ、 ディバイダーはコンパスなので先の丸い針で線を引いていく感じになります。
ネジ捻やディバイダーは銀面を傷つけないで跡をつける感じですが、 ステッチンググルーバーは、縫ったところの糸が削った溝の中に入るので、摩擦による糸へのダメージがネジ捻やディバイダーに比べると軽減されます。

手縫いの補助道具 レーシングポニー他

手縫いをする際、革を机に置いたまま縫うのは結構大変な作業ですので、このような道具で挟んで固定しながら縫っていきます。
右のは椅子にのせ、板の部分に自分が乗って使うタイプで、左のはご覧のように机に固定して使うタイプです。
個人的には、机に固定するタイプの方が使いやすいと思います。

このタイプのレーシングポニーは形がほとんど同じでも、2,000円から1万円以上するものまで値段のばらつきが激しく、どれを買えばいいか迷われると思います。上の商品はわたしが使っているものと同じものです。値段もまあまあで、評判を見て購入したのですが、評判通りそつなく使える商品で安心したのを覚えています。でも、革を挟むところに保護用の革張りをしてないので、薄い革を貼り付けるだけですが、必要ならそこは自分で付ける必要があります。

わたしがレザークラフトをはじめた当時は、このように机に簡単に取り付けて、角度も変えられるタイプのレーシングポニーが売られておらず、自分で自作したのですが、今は安い値段で販売されていますね。ただ、評価が微妙なので、よく考えて(考えてもわからないですが)選んでください。
また、ずっと使えるものですので、できる人は自作してみるのもいいかもしれません。

手縫いの最中にも活用できる丸錐

手縫いをしていると途中で縫い穴に糸がうまく通らない時や同じ穴に糸を二回通す必要があるケースがあります。そんな時は丸錐を使って穴を広げます。菱ギリだと既に通した糸を傷めてしまうので、丸錐を使います。丸錐は型紙を革に写すけがきの際にも使いますし、何かと使用頻度の高いアイテムですので、1本は持っておきましょう。

手縫い針

この針はレザークラフト用の手縫い針でクラフト社の細針です。太や極細もありますが、一般的には細針で事足ります。細い糸を使う場合は、菱目の穴も小さくあけるはずですので、極細がいい場合もありますが、太はあまり使わないんではないかと思います。
布用の針でも代用できますが、革を傷つけないよう針先はヤスリなどでこすって丸くしてあげると良いですね。

レザークラフトの手縫いに使う糸の種類

レザークラフトの手縫いで使う糸を大別すると、自然素材の糸(代表的なのは麻糸)と化学繊維の糸 (代表的なのはポリエステル糸) の二種類があります。特徴として、どちらの場合も一般的には蝋引きしたものを使います。
蝋引きするのは、手縫いの際に糸の通りをスムーズにする潤滑油的役割と、完成した後、糸の毛羽立ちを抑え、糸を保護する役割があります。

それで自然素材と化学繊維の糸のどちらを選べばいいかというと、はじめは化学繊維の糸がいくつもの点で使いやすいと思います。
まず、種類が豊富です。色が豊富ですし、風合いもシンプルな糸のものから変わった風合いのものまで表情が違うものが選べます。また、麻糸などに比べ強度面でも勝っています。そして、火であぶると溶ける性質があるので、縫い終わりの始末も楽です。

ビニモ

化学繊維の糸として人気があるのが、ビニモというポリエステルの糸です。カードケースやペンケース、二つ折り財布など、あまりごつくないものを作るなら、5番という太さが使いやすいと思います。それよりもう少し太いのが1番という太さになります。
後で取り上げる手縫いでメジャーなエスコードという麻糸の太さで言うと、(エスコード)細 30/3 ≒(ビニモ)5番、(エスコード)中 20/3 ≒ (ビニモ) 1番。メーカーが違って、完全一致しないですが、目安としてはこんな感じです。

シニュー糸

レザークラフトで代表的な糸として、このシニュー糸も定番です。本物のシニュー糸は動物の腱を糸にしたものですが、それは今売っていないので、現在はその風合いを模して作ったポリエステルの糸が売られています。この糸を使うとクラシックな雰囲気が出ます。
上のシニュー糸は、自分好みの太さに割いて使うタイプで、下は撚(よ)ってあるのでそのまま使うタイプです。

麻糸

上記したように、あらゆる面で化学繊維の糸は良いのですが、麻糸の風合いやあたたかみというのは捨てがたいものがあると思っています。実際自分が現在使っている糸は、ほとんど麻糸です。このブログで紹介している革ケースもほとんどが麻糸で縫っています。

おすすめの蝋引き麻糸はこちらです。

天然繊維 ハンズラミー麻糸

手縫いはレザークラフトの醍醐味です!

今、蝋引きされた麻糸を紹介しましたが、レザークラフトの麻糸と言えば、このエスコードという糸が定番です。この糸を使うと本当にハンドメイドでレザークラフトをやってる感がすごいんです。いかにも趣味の世界というスタイルがたまらないです。

まず、この糸はいきなり糸端を引き出して使おうとすると絡まってしまって、イー!!となりますので、絡まずに使えるよう一旦何かにきれいに巻き付ける必要があります。ぐるぐるぐると2~30mもやるわけです。
なんですぐに使えるようにしておかないの?ねぇ?という疑問は、まだぐっと堪えてください。

それだけではありません。エスコードは、無加工のシンプルな麻糸なので、このようなアイテムを使い、自分で入念に蝋引きもしないといけないのです。
ここまで自分でやるならお値段は当然リーズナブルなはずですよね?だって、セルフサービスのお店は安いのがセオリーですから!と思いきや、決してお安くはないという。
意識高い系の忙しそうな現代人なら「俺の時間を返せ!」と発狂しそうな商品がエスコードとなっております。ぜひともこちらはお試しください。