レザークラフトのトコとコバ処理に必要な道具の解説!~初心者編~

コバ、トコ処理剤

革の表皮である銀面に対し、トコ(裏面)やコバ(断面)は同じ組織ですので、共通の処理剤が使えます。代表的なのはトコノールで、レザークラフトをはじめると、まず使うであろうお馴染みの処理剤です。

トコノール

トコプロ

トコノールと同様に定番として冒頭画像のトコフィニッシュという処理剤があります。サラサラしていて、特にトコに塗り広げるのには扱いやすい処理剤ですが、少しコーティング効果が薄い感じがありますので、同じクラフト社製であれば、こちらのトコプロの方がおすすめです。

バスコ

コバに塗る処理剤で、比較的簡単にきれいな仕上がりになるので、おすすめなのがバスコという商品です。

バスコは、最大で35色のラインナップがあって、さらにバスコ同士をブレンドすれば自分好みの色をつくることもできます。色が豊富なだけでなく、下処理にあまり手間をかけなくてもきれいに仕上がり、剥がれにくく、曲げても割れにくいという特徴があります。目止め液と併用することで、より剥がれにくくなるということなのでバスコを使うならバスコ目止め液も同時に揃えておくといいと思います。
きれいなコバに仕上げるバスコの使い方としては、はじめにコバをやすり等で一通り下処理し、そこにバスコ目止め液を塗って、通常のコバ処理剤を使う時のように磨きます。そうすると、つるつるのきれいな下地が出来上がります。この状態でもトコノールなどを塗って処理したのと同じ状態になりますが、さらに目止め液が半乾きの状態で薄くバスコを塗って仕上げるという形です。バスコを塗る前に目止め液が乾いてしまったら、軽く水で湿らせて半乾きの状態を作ってあげれば問題ありません。
上記したように、目止め液だけでも透明できれいな状態になりますので、バスコ目止め液はトコの処理剤としても利用できます。

コバの下処理に必要な道具

コバはやすりがけなどの下処理をしてから、コバ処理剤を使うことで、より美しい仕上がりになります。

ヘリ落とし

コバ処理の手始めは、革断面の角を落とす面取り作業をヘリ落としで行います。

ヘリ落としには、よく見かけるものでは3種類ほどあって、面取りする幅のサイズが違います。一般的には、0.8㎜か1㎜のどちらかがあればOKです。
ヘリ落としを使って面取りするのは、見た目を良くする(柔らかくする)という点もありますが、上記したコバのやすりがけを段階的に行っていく際、あらかじめ面取りをしておかないと、段々角だけが尖った状態になってきてしまいます。柔らかい組織が先に削れ、銀面(表皮)だけが硬いので残ってしまうという感じです。それを防止するためにも面取りを行うといいと思います。

ヘリ落としには、最初に紹介したものと同じサイズ、メーカーでも価格が倍近く違うものがあります。価格の違いは柄の色違いだからでも、高級な仕立てだからでもありません。高い方は切れ味が落ちたら砥いで長く使えるものだからです。
プロのように毎日使うのでもなければ、安い方で十分ですし、すぐに切れ味が落ちることはないので心配ありませんが、慣れてきて2本目を買うならこちらをおすすめします。

やすり類

コバを研磨する作業で、どのような順でやすりの粒度や道具を変えていくかは、使う革や人の好みによっても違いますので、以下ヌメ革での一般的な手順を説明しながら道具を紹介します。

ドレッサー

コバを磨く際には、最初にこのような粗めのやすりで荒らし、徐々に細かい目の紙ヤスリなどでこすって仕上げ、最終的にコバ処理剤を塗布するという流れになります。
その他にもこの道具は、革を貼り合わせる際、表面を荒らしたりするのにも使えます。(表面を荒らした方がしっかりと接着できるので、貼り合わせの際は表面を荒らす作業をします。)
上のドレッサーについて言えば、先端が非常に細くなっているので、細かいところも力を入れて削りやすいです。 また、コシのない紙やすりではなく、このような板状のやすりの方が使いやすい場面がありますので一つあると便利です。
ちなみに、削り面は金属製ですので、紙やすりのように比較的短期でダメになってしまう道具ではありません。使用頻度もそれほど多くはないと思いますので、趣味程度であれば何年も使えますし、削れなくなったら替え刃もあります。

紙やすり

粗めのやすりでコバ表面を荒らしたら、徐々に粒度の細かいやすりに変えて研磨していきます。どのような手順でやすりがけをするかの一例としては、 ドレッサー⇒120番紙やすり⇒400番紙やすりのような順にこすって仕上げていき、最後にコバ処理剤を塗布すると、比較的きれいになります。普通はこのように3~4回粒度を変えて研磨していきます。
紙やすりを使う場合は、茶色のではなく、この黒っぽい耐水ペーパーのほうがもちがいいです。大きいままでは使いにくく、細かく切って使いますので、一枚買えば当分なくなることはないと思います。ホームセンターやホビーコーナーで一枚から購入できますが、上のセットのように粒度の違うもので、どのような順で研磨するのが良いのか試してみるのもいいかもしれません。

サンドスティック

サンドスティックは、ドレッサーと紙やすりの中間のようなアイテムです。コバの研磨では、これが結構使えます。紙やすりはご存知のようにコシがないので、場合によってはうまく力が入らないこともあります。その点、サンドスティックは、やすりの下が板状になっているので、しっかりとしていて研磨しやすいです。紙やすりのように粒度のバリエーションは少ないですが、一枚で結構長持ちもするので、試してみるのもいいかもしれません。

コバ処理剤を塗る道具

コバ処理剤をコバに塗布するには、はじめのうちは100均の綿棒でも十分です。綿棒を使ってみて、使い心地に不満があれば、以下のような道具も便利です。

らくぬーり

処理剤を塗るのに最適化された道具としてはこんな物があります。使いやすい大きさに切って、ピンセットやクリップで挟んで使います。硬いスポンジみたいなもので、摩耗に強くなっていますので、綿棒のようにすぐにふやけて使えなくなってしまうことはありません。

コバ塗りローラー

コバ処理剤を簡単にきれいに塗るおすすめの道具として、コバ塗りローラーがあります。ローラー部分にコバ処理剤をつけて、コバにあてて回転させることできれいに塗布することができる優れものです。処理剤が付きすぎにならず、均一に塗れますので大変便利です。

コバ磨き道具

コーンスリッカー

ウッドスリッカー

コバの下地処理は、使う革や人によってもやり方が違うという話をしましたが、コバ磨きも同じです。人によっては、何工程もかけてコバを磨く場合があってきりがないところです。
でも、はじめからそれをやるのは大変なので、最初は処理剤を塗布したら、コーンスリッカーやウッドスリッカーでこすって仕上げるのが、きれいになる最もシンプルな方法です。
コーンスリッカーとウッドスリッカーの違いは、コバ面に点で接するか、面で接するかの違いです。曲線はコーンスリッカーのように点で接する物の方が当てやすいというのはあります。でも直線部分でも使えるので、どちらか1本ということなら、はじめはコーンスリッカーがいいかもしれません。

コバ磨き道具その他

これはコバ磨き用として売られている帆布という布ですが、使わなくなったタオルみたいな普通の布でも磨くことができます。。

こんなプラスチックのコバ磨き道具もあります。コバ磨きの道具は、売られているものに限らず、色々なものが利用できます。今挙げてきたものに似たものを身近で見つけて試してみるのも意外な発見があるかもしれません。

トコを磨く道具

トコ(革の裏側)に処理剤を塗り広げた後、このガラスの丸まった角を押し付けてこするときれいになります。このガラスは専用の道具で、単なるガラス板なんですが、専用だけあって絶妙に使いやすくできています。
その他、革を漉く際にも下敷きとしてこのガラス板がよく使われるので、手に入れておいても損はないものです。
ただ、トコ磨きに関して言えば、絶対これでなければならないというわけではなく、処理剤をヘラで塗り広げるだけでも割ときれいになります。

トコやコバを処理する理由

トコの処理

トコの部分はほとんど見えないことも多いので、無処理で何もしない場合もあります。売り物を見ても、安いものはトコもコバも処理していないことがあります。
では、コバやトコは処理しなくてもいいかというと、それは処理したほうがいいです。見た目に綺麗ということもありますし、トコの部分は銀面より耐久性のない部分ですので、処理剤を塗ってコーティングしてあげることで、耐久性が向上し、摩擦も少なくなります。また、毛羽立ちも抑えられます。
でも、最初に書いたように無処理でも趣味の範囲なら問題ないでしょう。自分で使うものであったり、ボロボロと取れる革裏面のカスが気にならない人は、あまりこだわりすぎなくてもいいのではと思います。

コバの処理

コバもトコと同様に銀面と比べて、革の弱いところになりますので、実用的な面で基本的には処理するのが普通です。トコ面と違ってよく見える部分ですし、面倒でもここはやって損はないかなと思います。レザークラフトを趣味でやる上で、コバの仕上げは一つ醍醐味でもありますし。

でも、わたしがよく作る道具の革ケースの市販品なんかは、悲しいかな普通に無処理ですね。結局、究極はどういう点を重視するかだと思います。道具、工具の市販革ケースの例でいえば、高価なものは売れないですから、手間は極力省く必要があります。そして、実際過酷な環境で使用しても、ある程度は使えるわけで、ダメになったらどんどん買い替える方がいいというスタンスです。なので、レザークラフトで自分が何をしようとしているかで、コバに限らず手間のかけ方は自由に変えればいいのだと思います。