フェルコ剪定鋏レビュー | 剪定のプロである植木屋の評価は?

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フェルコ剪定鋏は、赤いグリップとメカニックな見た目が特徴的なスイス生まれの剪定鋏です。国産の剪定鋏が豊富な刃物大国の日本でフェルコを選ぶ必要が果たしてあるのか?
樹木剪定を20年以上続けてきたいわゆる剪定のプロとも言える植木屋がフェルコ剪定鋏をレビューしますよ。

フェルコの評判 | 長所と短所を紹介するよ!

あらかじめ断っておきますと、一応植木屋なんで国産の剪定鋏も、もちろん使ったことがありますが、いくつもの点でわたしにはフェルコの剪定鋏が合っていたので、これまで長らく愛用しているということはお伝えしておきます。
そして、これから書くことは、基本的にはわたしが現在使っているFELCO11やFELCO2というモデル中心ですが、フェルコの鋏にはほぼ共通して言えることも多いので、それ以外のモデルでも参考になると思います。

フェルコ剪定鋏の長所

どんな点がいいのか?フェルコのお気に入りポイントをざっと挙げると次の通りです。
1.文句なく切れ味がいい
2.切断時の衝撃を軽減してくれるので手にやさしい
3.見た目がおしゃれ
4.バリエーションが多彩
5.ワイヤーも切れる
6.刃が研ぎやすい
7.刃の擦り合わせ調整が簡単
8.すべてのパーツを交換可能

1.文句なく切れ味がいい

鋏としてここは大事なところですが、切れ味は全く問題ないですね。日本の刃物は世界的にも有名ですが、そんな国産の剪定鋏と比べても遜色ないと思います。

2. 切断時の衝撃を軽減してくれるので手にやさしい

紙などの柔らかいものを切っている分には感じないことですが、鋏で硬いものを切ると切れた瞬間に衝撃がありますよね?バチンっていうあの衝撃です。
剪定作業というのは、その衝撃の連続ですので、それを続けていると手や腕に結構な負担がかかります。その点フェルコには、ショックアブソーバーなるクッションが付いていて、衝撃を軽減してくれるので、手や腕にやさしいつくりになっています。※モデルによっては付いてない物もあります。
本職としてできるだけ負荷が少ないものを使いたいと思っているので、目立たないですが、この機能は私にとって何気に大きいですね。ちなみに、日本の伝統的な美しい鋏には、そういう野暮なものはついていません。

3.見た目がおしゃれ

昔ながらの日本の剪定鋏もいいモノは、とても美しく惚れ惚れしますが、わたしはフェルコのデザインも好きなんですよね。日本の感性にはない感じ。日本人の私から見ると武骨にも見えるんですが、美意識、バランス感覚、試行錯誤が見える感じが気に入ってます。歯車や虫ばね、赤いグリップというパーツもかわいくて好きです。

4.バリエーションが多彩

フェルコはスイス製、つまり西洋人が使うことを前提につくられているためか、国産剪定鋏よりも少し大ぶりです。わたしは男性なので大きすぎると感じたことはないですが、女性の手には少し大きく感じるかもしれません。
でも、フェルコには、わたしが使用しているモデルの他にもバリエーションがいくつもあります。ぱっと見では、「これ何が違うの?」っていうくらい色々あります。その中には、手が小さい人用、左利き用、長時間作業用などなど、様々なタイプがあるので、どれにすればいいか迷ってしまうと思います。
そんな人には、この一覧表が役に立つと思いますよ。⇒【フェルコ剪定鋏一覧
ちなみに、わたしはこの表のスタンダードのところのモデル(FELCO2、6、11)を使っています。バシバシ剪定していくなら、このラインが使いやすいんではないかと思います。

5.ワイヤーも切れる

モデルによってはできないものもあるのですが、刃の根元の方で針金が切れる構造になっているので、ペンチを出さなくても作業可能です。太い番線は無理ですが、園芸で使うようなものなら大抵は切れちゃいます。

6.刃が研ぎやすい

フェルコの鋏は替え刃式のものが多いので、刃を研ぐことができない人は、切れなくなったら交換すればOKです。
私はというと刃を交換したことはなくて、砥いで使っています。なので、替え刃式ではありますが、砥いで使い続けることも可能です。
ところで、剪定鋏の刃って、ちょっと研ぎにくいんですよね。でも、フェルコの鋏は分解することができるので、刃の部分だけを外して砥石を当てやすい状態で研ぐことができます。

7.刃の擦り合わせ調整が簡単

鋏というのは、無理な力を加えたり、何度も落としてしまったりすることで、歪みや刃と刃を留めているカシメの部分が緩んでしまうことがあります。そうすると刃のかみ合わせが悪くなって、切れなくなってしまいます。剪定鋏の多くは、カシメ部分がネジでない場合がありますが、フェルコの場合ここがネジ式なので、緩んでしまっても簡単に締め直すことができます。

8.すべてのパーツを交換可能

先ほど、フェルコは分解することができると書きましたが、刃の部分だけが取れるだけではないんです。バラバラにすべての部品を分解することができます。そして、そのすべての部品が単品で売られています。ですので、一部のパーツが壊れたり、使えなくなってしまっても、部品交換すれば、新しい物を買い直す必要がありません。
これって何気にすごくないですか?柄は片方ずつでも購入可能なんですよ?
いや、柄が片方だけ壊れるってどういう状況だよって話もありますけど。
刃の部分とか大抵壊れる箇所は決まってるんでしょうけど、すべての部品が購入可能というホスピタリティーに脱帽です。

プロが使うならおすすめのフェルコ標準タイプ

先ほど、わたしが使っていると書いた鋏が以下のタイプです。プロの人が使うならこの辺がおすすですし、プロでなくてもちゃんとしたものが希望なら標準タイプがいいんではないでしょうか?

スタンダード FELCO2、11

スタンダード 小さめタイプのFELCO6

フェルコの中の人ですか?

ここまでいいところを書き連ねすぎて、「おっ前、さてはフェルコの回し者だな?」って思った人もいるのではないでしょうか?
ほんとフェルコさん、これだけ褒めてるんだし、わたしにいくらか入れてくれてもいいんですよ?と前々から訴えているのですが、その声はスイスにはまだ届いていないようです。
じゃあ言っちゃいましょうか。フェルコの嫌いなところ。

フェルコ剪定鋏の短所

フェルコのいまいちなポイント。
1.ちょっとごつ過ぎない?
2.ちょっと滑り過ぎじゃない?
3.ちょっと高すぎでは?特にパーツ高すぎ

1.ちょっとごつ過ぎない?

見たまんまちょっとごつめで、パーツがでかいんですよね。その分丈夫で壊れにくいとも言えるんですが、特に受け刃が厚めなので、国産の剪定鋏と比べると、細かいところに刃が入りにくく、小回りが利かない印象があります。華奢にするとパワーが足りず、ごつくすると小回りが利かないという当然のことですが、そこを何とか技術力でカバーできませんか?という気持ちがあります。
ただ、わたしが言っているのは相当細かい話ですので、一般的には何の問題もないことなのかもしれません。もちろん、園芸で使う分には何の問題もありません。

2.ちょっと滑り過ぎじゃない?

このきれいな赤いグリップなんですが、濡れるとめちゃくちゃ滑って力が入らない。いくらなんでも滑り過ぎじゃない (^^;
まあ、雨でぬれないことにはそんな状況にはならないんですが。

3.ちょっと高過ぎでは? 特にパーツ高すぎ

国産の剪定鋏に比べてフェルコの剪定鋏は、ちょっと割高なんですよね。これは輸入品かつ大量に売れるものではないという事情もあるのかもしれません。
それにしたってパーツは高くないですか?分解できて傷んだパーツは、どれでも交換できるのはいいんですが、パーツの値段設定が意味不明なんですが。
例えば、あるショップではFELCO11が¥7950で売られています。で、同じショップで FELCO11 のパーツをすべてそろえると¥14850(恐らく税抜)になります。
なので、デアゴスティーニみたいに組み立てていったら、最後には完成品を買うより倍の値段を払わされているという恐ろしい結末になります。それくらいパーツ単品は割高。剪定鋏の柄は片方で¥3000~4000ですよ?安い剪定鋏が1丁買える値段です。いやだから、柄が片方壊れるってどういう状況よって話なんですがね。

フェルコの総合評価

個人的な使用感なので独断と偏見が混じっていますが、総合的に言って、わたしは気に入っている。という、最終的には根も葉もない評価です。でも、普段取り立てて、意識しているわけではないけれど、気が付けば10年以上愛用していることからもそれはわかります。
そうは言っても、はっきり言って、値段も高めなので、すべての人におすすめできるものではないです。道具を大事にできない人やちょっと使うだけの人にはもちろん不要です。
対して、多少割高でも、お気に入りの道具を長く使うタイプの人には、合っているかもしれません。プロの人や庭いじりが趣味の人は、一度手にしてみるといいかもしれません。
フェルコを使用して初めて枝を切ると、ちょっと独特の鮮やかな切れ感を味わえると思いますよ。

フェルコのために作成した革ケースが3種類あります

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