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鋸ケースと言えば、木製かプラスチック製のものが一般的ですよね。このようにケースも柄もヌメ革製というのは、わたしはほとんど見たことなかったので今回作ってみて、なかなか出来が良かったのでこれを紹介します。
これまでこのサイトで紹介してきた革ケースに比べるとちょっと装飾的な部分が強い気もしますが、意図的にねらってやっているわけではありません。
何となく必要があって作っていたらこんな感じになってしまいました。w
革製鋸ケースPockesawとはどんなもの?
パッと見て、画像からはわかりづらいですが、実はこの鋸は刃が130㎜ほどで短いミニサイズです。ですので、ケースも合わせた全長は330㎜程になります。
剪定で使う鋸の刃のサイズ規格としては、210㎜、240㎜、270㎜という辺りがスタンダードだと思います。そして、わたしはずっと240㎜の鋸を使っていました。
ちなみに、刃が240㎜くらいの鋸だとケースも合わせた全長は400㎜位になると思います。
このように鋸ケース(さや)の部分は、茶色と赤色の糸で横の2重縫いをしていて、柄の部分は替え刃の交換の時に開けられるように、革ひもで締めています。
ガチで剪定に使う普段使いとしては、ちょっとおめかしし過ぎの感がありますね。w
でも、どうでしょう。革好きな人には好みのデザインになったのではないでしょうか?
こちらは赤と青の糸を使用した別バージョンです。実物でないとなかなか伝わりませんが、赤茶の組み合わせは暖かい感じ、赤青の組み合わせはキリっとして上品な感じになりました。
Pockesawができた経緯(いきさつ)
本職の植木屋でもきれいな仕事を心掛けていないとなかなかわからないことですが、剪定の際に鋸を使っていて「ここもっと小さい刃なら入るんだけどなぁ~」と思うことがあります。
ポケットに折り畳みの小さな鋸を忍ばせている人を見たことがありましたが、わたしはというと、ずっと240㎜くらいの鋸だけを使い続けてきました。
そこで一年ほど前に思い立ち、ミニサイズの鋸を導入して、これまで一年ほど長い鋸(240㎜)と併用してきました。
こんなやつなんですが、ちょっと安っぽさ爆発していまして、実際安いので仕方ありませんが...。
とりあえず、ミニサイズの鋸をお試しで使ってみたかったので、これをカスタマイズするのは最小限の労力に抑えたいというのがありました。
そこでこのケースだけ革でカバーすることにしました。
それでできたのがこちらです。
プロトタイプということで、まあ最初のどうしようもない状態よりはましになったかな?と思い使い始めました。
すると、なんとなんとこのミニ鋸が働くのなんのって!最近では長い鋸を使うのは大きな木を手入れする時だけになったほどです。
そうなると、このトライアルバージョンでは、柄がプラスチックそのまま=安っぽいということがあり、いよいよどうにかしたいという気持ちに駆られていました。
それで柄を革で覆い、しかも開閉可能なやつ(替え刃式なので刃の交換時に開かないと困る)ということで、柄のデザインが決まり、それに合わせてケース(さや)のデザインというか縫い方も決まったというわけです。
「大は小を兼ねる」は本当か?
Pockesawと名付けたこの鋸ケースのエピソードですが、「大は小を兼ねる」という言葉ありますよね。
この言葉を鵜呑みにして、工具でも何でも大き目サイズを買うのは貧乏人のすることですよ!
心当たりありませんか?
わたしがこのことを最初に痛感したのは、独立したての頃のこと。二連梯子(はしご)が必要になった時、長い方が何かと使えるだろうと考えて、8Mくらいの二連梯子を買いました。
いざ買うときになって、二連梯子にも長さのバリエーションが結構あるということに気付いたのですが、以前の会社でも二連梯子と言えば、それくらいのサイズしかなかったので、大した考えもなく買ってしまったんですよね。
でも、8Mくらいにもなると、これが結構な重さです。ひょいひょいと持ち出す気にもならないし、広いところならまだしも、狭いところでは取り回しがしづらくて、結局「これは短い方がずっと使いやすいのでは?」という結論に達しました。
それである時、6Mくらいの二連梯子を新たに購入して使ってみたら大正解。
長ければ、長さが足りなくて困ることはないだろうと、貧乏根性丸出しで買ってみたものの、今ではほとんど短い方を使っています。
それで話は終わりではないです。人間ってそうそう学ばない生き物ですよね。わたしだけですかね?w
チェーンソーが必要になり、バーの長さ(≒排気量)をどのサイズにしようか悩んだ時、わたしの頭にあったのはこの時も「大は小を兼ねる」というものでした。
迷った挙句、長めのバーを選択しましたが、結局ほとんどそのサイズは必要なく、後にミニサイズのチェーンソーを買うという顛末(てんまつ)を迎えました。今では9割方小さいチェーンソーで事足りています。
林業ではないんです。住宅の庭を手入れする程度では、小さいチェーンソーが最も使い勝手がいいに決まってる!ということに気付きませんでした。
この出来事が「『大は小を兼ねる』というのは、まったくのデタラメだ」とわたしがつくづく感じた瞬間でした。
でも、必要性を考えずに、ただ欲張って大き目のサイズやオーバースペックの機材を買ってしまって、宝の持ち腐れになるというのは、私に限らずありがちな失敗ではないでしょうか?
でも、「大ばかり使っていて、小の存在に気付かないということがある!」ということに最近気づいたのが、このミニ鋸です。
「大は小を兼ねない」
ミニサイズの鋸は非常に使い勝手がいいということに今さら気付き、メインの鋸として使うためにカスタマイズしたのがこのPockesawです。
小さな鋸が優れている点は本当にたくさんあります。
わたしが思う便利なところは主に5点です。
- 刃先が細いので細かいところにも自在に入って行く
- 意外と足首くらいの枝なら難なく切れる
- 少ない労力で切れるので、脚立の上のような不安定なところで安定して使える
- 狭い樹上で腕の可動範囲が少ない場所でも、引き幅が少ないので取り回しがしやすい
- 主に掃除などでかがむ時に、長い鋸のようにさやの先を地面に引きずることがない
細かいことを言えばもっとあるのですが、細かすぎるのでこの辺にしておきます。
人によって使いやすい道具があり、鋸一つにしても刃の長さの好みや折り畳みの方が好きな人など様々です。それぞれに仕事のスタイルがあり、いくつか試した先に今使っている道具があるのだと思います。
でも、こんなに短い鋸がこれほど使いやすいものだということは、ちょっとわかってもらえないかもしれませんが、わたしにとってはちょっとした衝撃でした。
思い込みで使っている道具や最善だと思い込んでやっていることが自分にも案外多いのかなぁと感じました。
そして、「大は小を兼ねる」というのは貧乏根性の話で、「大は小を兼ねない」というのが本当ではないでしょうか。物事には何でも適正なサイズがあるものですよね。
この鋸と鞘のセット良くないですか?
ところで、このPockesaw感じがとっても良くないですか?
これを作成した後、1年使ってみた感想として、いい感じなだけでなく、グリップが通常よりも滑りにくいという機能面での良さもわかりました。
自分はこれがなかなか気に入りまして、今度はミニサイズではなく、長いほうの鋸でもやってみたくなりました。
それでつくってみましたよ、通常サイズの鋸でも。よかったら見てみてくださいね。