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今回は、鋸ケースもさることながら、そのシステムが自分の中ではちょっと画期的でしたので、ニュータイプ鋸システムと題して、このWiredSawをご紹介したいと思います。
ぱっと見でわかると思いますが、この鋸はワイヤーでつながっていて、普通の剪定鋸とは明らかに違いますね。ここに至るまでには、様々な変遷がありました。
WiredSawはPockesawの進化版
今回紹介しているWiredSawの前身は 、以前紹介したPockesaw というものです。
【鋸ケース | Pockesawのエピソード】この記事で詳しく触れていますが、このミニサイズの鋸が滅茶苦茶使い勝手が良くて、ぜひみんなにも使ってほしいと思っているんですが、かつてその愛が溢れ、ついにこのような革製のセットへと昇華させたのでした。
ちなみに、こちらが元になっている鋸です。この見た目も値段も安い、いえ、ナイスな鋸にこのように革を纏わせることによって、さらにナイッスーー!な感じに生まれ変わっているわけです。
この当時 、Pockesaw が自分の中で画期的だったのは、ケースに二重縫いを採用して装飾的にしたことと、鋸の柄を革で覆うという良杉な見た目をゲットしたことです。当時は「めっちゃかわいい~、萌える~」と、誰も褒めてくれないので、自分で自分をほめてあげた次第です。
この Pockesaw は、しばらく使わずに鑑賞用になっていたんですが、いつまでも眺めていても宝の持ち腐れというやつですから、一ヶ月ほど経って、ついに人類に先駆けてわたしが手を付けてやろうと決意したわけです。
おい、 Pockesaw お前はそんな奴だったのか!
いや~、やっぱり付き合ってみないとわからないものですね。見た目にはめちゃかわいいPockesawですが、一つ重大な問題が発覚しました。
それは、見た目を重視するあまり道具としてのバランスを欠いてしまったことです。具体的には、柄を革で覆ったことで、鋸の刃や鞘に対して、柄の方が重くなりすぎてしまうという致命的な欠陥があったのです。結果、油断すると重さで柄が下を向いてしまい、鞘から落っこちてしまうということが度々起こりました。
そして、使い込むうちに鋸が落ちる問題は悪化しました。なぜなら、細すぎるベルトループが、劣化してへなへなになってしまったためで、落ちる頻度は増えていったのです。
※ここで大切なお知らせがあります。この商品(石鋸工業 現場屋 ケース付万能鋸 135mm)にはロック機構が付いており、逆さにしても決して落ちることはありません。あくまで、この作者が魔改造したことにより、ロック機能が失われてしまったということをご理解ください。
Pockesaw捜索タイムルーティーン
頻繁に落ちるようになってからは、 「Pockesaw捜索タイム」という謎の時間が、わたしの業務時間を圧迫しました。そう、それは飛び出して行って迷子になった Pockesaw を捜索する時間。ターゲットは枯れ葉に擬態した手ごわい相手です。まず、わたしは自分の歩いたところを戻って確認し、次に、先ほどまでトラックにせっせと積み込んでいた枝ゴミの山をひっくり返します。そうして庭の中をウロウロとくまなく探し回る何の生産性もない無駄な時間が度々必要になったのです。
また、木に登るときも決して気は抜けません。枝に引っ掛かり、鞘が下を向こうものならPockesaw はわたしが来たルートを真っ先に引き返し、地面に戻っていくのです。下に剪定枝があろうものならたちまち雲隠れ。捕らわれた捕虜のように、隙あらば逃げ出すという始末。
そして、この罰ゲームのような時間は、忙しい時に限って起こりやすいという特徴がありました。
お別れの時
そして、そんな状況が2年程続いていたある日、どこを探してもアイツが見つからないという緊急事態が起こりました。普段も緊急事態ですが、その日は特に緊急事態です。いつもはイライラしながら、怒りを覚えつつ見つけ出すのですが、その時はいくら探しても見つからず、イライラを通り越して、悲壮感漂う状況になりました。いつかは来ると予感していたこの時がついに来てしまったかと。この世に永遠の命などない。ついにお別れの時が来てしまったのです。
これまでの思い出を回想しつつ、最後にもう一度だけトラックのゴミの中をひっくり返していると、なんと信じられないくらい下にうずくまるアイツをようやく発見したのでした。これはもう奇跡としか言いようがない、と辺りからは自然に拍手が沸き起こりました。いや、正確にはその時一人だったので拍手が起きたような気がしただけでした。
Pockesawをマイナーチェンジさせる必要性
「こいつアホやな」「そんな鋸使われへんやろ」きっとこのような光景を普段から目撃していたまわりの仲間は思ったことでしょう。しかし、わたしの中ではPockesawと決別するなど微塵も考えたことはありませんでした。これほど手を焼くPockesawですが、ひとたびこいつを手にした者は、例え猫であろうと思うに違いありません。「大好きにゃー♡」
具体的に、何がそんなにいいのか?それは旦那、使ってみればわかるってもんですぜ。
そんなわけで、Pockesawをどうにか落ちない構造にする必要が出てきました。
はじめは、鞘の方が軽すぎるからひっくり返る。ということは、鞘の下方にオモリみたいなものを付けて、鞘がひっくり返らないようバランスを取ればいいのではないかと考えました。でも、木に登って枝に引っ掛けたり、枝ごみを背負う時にひっくり返るということは、避けられないような気がして、この方法は解決策として良い案だとは思えませんでした。あーでもない、こーでもない、そうこうしているうちにも月日は容赦なく流れます。
答えを知っているあなたは、「ハイハイ、そんなの簡単だよ、ワイヤーだろワイヤー!」そう思うことでしょう。それは愚かな考えです。コロンブスの卵というやつです。想像してください、イマジン!
当時の私は人類がまだ立ち向かったことのないミッションに挑んでいたのです。そう簡単に答えなど出るはずもありません。
そして、Pockesawが誕生して3年が経とうとしていた時、あれこれと考えていても仕方ない、前々から考えていたことを試してみようと思い立ちました。それがこのような商品を使った方法です。
リールストラップとかキーリールと呼ばれるこの商品は、ご存知のように、中に収納されたワイヤーが伸縮するため、衣服やバッグに付けたまま鍵などを使うことができる便利グッズです。本来はキーホルダー的にちょっとしたものを付けて使用するツールですね。
これに繋いでおけば、ケースから飛び出ても、失くすことはないというわけです。これ、実は前々からホームセンターで見ていて、ずっと迷っていたんですが、上記の通り重い腰を上げ、ついに使用に踏み切りました。
Pockesaw+リールストラップの使用感
はじめてリールストラップを付けてPockesawを使った時、これはいいなと思いました。剪定作業に支障がない範囲でワイヤーは伸びてくれますし、鞘の横に付けても邪魔にならないコンパクトサイズです。そして、何より落とす心配から解放されたのがうれしいところでした。
ただ、使っていくうちにいくつも問題が見えてきました。
まず、非常に軽いものを付ける想定で設計されているため、バネが弱く、 Pockesaw をぶら下げた状態ではワイヤーがビローンと伸びて下がってしまうこと。鞘に収納時はワイヤーとつないだ状態となるため、リールストラップ側に引っ張られて、鞘が横向きになり、間抜けなイケてない状態になること。そして、リールストラップのフックをベルトにかけただけの状態では、木に登った時にリールストラップごと Pockesaw が落ちてしまうことなどがありました。
リールストラップごと落ちる問題は、対策して何とかなりましたが、絶対にベルトから取れない状態にしたら、ある日、鋸刃を誤ってものに引っ掛けた状態でワイヤーを全部引き出してしまい、 リールストラップ側の接続部が破損して、使用不能になってしまいました。こういうハードな状況を想定してつくられていないので当然の結果かもしれません。
Pockesaw+伸縮ワイヤーの組み合わせは使える
このリールストラップは残念な結果に終わりましたが、鋸をワイヤーに繋いで使うという方法は、今までにない使い心地を実現する画期的なものでした。それは、切り終えた瞬間に鋸から手を離せること、さらに使うたびに鋸を鞘に戻す必要がないことです。これがどんなに画期的な事か、なかなかわかってもらえないかもしれませんが、鋸を失くさないために始めた施策で、思わぬ大きな副産物を得たのでした。
PockesawからWiredSawへの変態
どのようにしたら使いやすく、スマートな状態にできるか。鍵は鞘にありました。
のこぎりを頻繁に収納する必要がないなら、従来の丈夫な鞘にこだわる必要はないのではないかと考えたのです。それならもう純革製の鞘でも構わないかもしれない。
そして、鞘がコンパクトになって腰回りのスペースを圧迫しないなら、逆にリールストラップはもっと丈夫なものに変えてもいいかもしれないと考えたのです。
探してみると、今のところこれがわたしが求める最良の商品でした。タジマさんありがとう。
【タジマ(Tajima) 安全キャッチのいいところ】
・薄くて軽く邪魔にならないところ。
・ワイヤーは1200㎜まで伸ばせるので、作業上問題ないこと。
・耐荷重1㎏で余裕があること。
・この画像のように、収納時は重いものでもワイヤーが伸びない工夫がしてあること。
・ベルトに通す部分がフックではないので落ちる心配がないこと。
タジマはプロが使用するツールを作っているメーカーですので、キーホルダーとして使う華奢なものに比べると堅実なつくりで安心感があります。
外装はこれはこれでいいんですがね。ごめんなさい。ちょっと手を加えさせてもらいました。
こうしてようやくPockesawはWiredSawへと変態を遂げたのです。
WiredSaw はこんな感じで使うよ
鋸を使わない収納時は、こんな風に携帯します。しゃがんだ際に引きずらない長さに革ひもを調節するとこんな感じになります。
そして、剪定時はこのように常に刃が出た状態で使用しています。
いちいち鞘に戻す必要がないから、これが非常に楽なんですよね。鋏類は鞘を見なくてもパッとしまえるんですが、鋸というのは、鞘を見ながらしまわないと、外れてしまえないことが多いものです。
これによって、このミニサイズ鋸の機動性が増し、さらなる作業効率アップにつながりました。
WiredSawの純革ケース
WiredSawの鞘は、ナイフのシースのように純革製です。前述した通り、これは鋸の出し入れ頻度が少ないと仮定して作成したものです。今回はこの鞘がWiredSawを完成させる大きな要素となりましたが、単純に純革製のケースというだけにとどまらない、様々な試行錯誤の末に、この形となったことが理解してもらえると思います。
こうして、PockesawはWiredSawへ変態を遂げたわけですが、この先WiredSawはさらなる進化を遂げるのか?今のところその予定はありませんが、小さな不満がある限り道具は日々進化するものです。たかが革ケースですが、今後も自分の革ケースがどんな風に変容して行くのか楽しみです。