こちらは飛庄と外山刃物の剪定鋏用に製作した革ケースです。
剪定鋏はカシメをセンターと考えた時に、左右対称ではありません。場合によっては刃にちょっと角度が付いていたりしていますので、革ケースも左右対称のものでは、まっすぐ入らないということがあります。もちろん、大きめに作って、ある程度色んな形の剪定鋏でも入るようにすることもできます。市販の剪定鋏ケースなどはまさにそのように作ってあります。ただ、大きめに作ってしまうと、見た目が犠牲になってしまうことがしばしば。洋服のようなファッションの場合、オーバーサイズがかっこいいというようなトレンドもありますが、道具の入れ物なんかは、やはりジャストサイズの方がしっくりくるはずです。
汎用性が高く、(大量生産、大量販売で)どこでも買えて、低価格というのは、多くの人が求めているニーズですので、市販の刃物ケースがあること自体がありがたいことです。ただ、こういったメリットと引き換えに、見た目の美しさや品質を犠牲にせざるを得ないところがあります。
でも、何か入れたい物が先に決まっていて、そのためだけに革ケースをハンドメイドする場合は、汎用性を考える必要などありませんし、採算など考慮する必要もあまりありません。
『一つの道具のために革ケースをしつらえる』
ハンドメイドやオーダーメイドで何かを製作する、してもらう目的の一つが、この思いではないかと思います。いつも使う道具やお気に入りの道具には、専用の服をまとわせてあげることが楽しみなのです。