剪定鋏ケースClassic Y/sは、仲良くさせてもらっている植木屋さんに依頼されて作ったものです。
この方は道具好きで、特に刃物が大好きです。わたしが使っている刃物(鋏、鋸、鉈、鑿、釿など)で良いものは全て見立ててもらいました。
このように革ケースづくりをしているので、わたしのことを「道具にこだわりがある人」と思われる人もいるかもしれませんが、実はそうでもないです。実用的なら何でも構わないという無頓着なところがあるので、それほど道具にこだわりはないと自分では思っています。
それでいざちゃんとしたものが欲しいってときは困って、詳しいこの方に相談するという頼もしい存在です。
実は、この革ケースをつくった際に、このような良い鋏をこの方には頂きました。
で、この剪定鋏ケースの特徴ですが、形状的にはフェルコ用の革ケースと大して変わりません。ただ、この剪定鋏にぴったり合うようにはカスタマイズしています。
木鋏はそうでもないのですが、剪定鋏の形状というのは意外と細かく違っていて、ぴったりフィットする革ケースをつくると、他の剪定鋏がうまく入らなかったりします。なのでカスタマイズが必要になることが多いです。
それと違いと言えば、わたしはこれまで革ケースづくりで麻糸を使ってきましたが、この革ケースでは初めてシニュー糸を使ってみました。
ヌメ革とシニュー糸というのは、クラシックな取り合わせのようです。何となく馴染んでますよね。
まだ、糸というものがなかった(貴重だった)時代は、動物の腱を糸代わりにして使っていたようで、本物のシニュー糸は腱ですが、実際売られているものはナイロン製です。
わたしは麻糸の風合いが好きなので、今までシニュー糸は使ってこなかったのですが、このシニュー糸は実は優れものでして。
麻糸のように蝋引きせずに使える上、縫い終わりの始末も麻糸より簡単。しかも、麻糸より強度が高いので、造園のようなハードな環境で使われる革ケースにシニュー糸は向いています。
頼まれたのが本物志向の方だったので、強度面でも遜色ないように丈夫な糸を今回は使用したということです。
ケースの裏もこんな感じできれいに仕上がりました。
手縫いならではの何とも言えない雰囲気です。