この剪定3点セットの革ケースは、ある知り合いの植木屋さんに頼まれたものです。
糸とコバ(革の木口)のさし色が特徴的で、できたての時はちょっと派手に感じましたが、今見るとそうでもないですね。赤で統一されていてイイ感じだと思います。ちなみに、この赤色は本人に希望を聞いてつくったものです。こんな感じの剪定ケースだったら、素敵ではないですか?ね?
たいていの植木屋が剪定作業で使う腰道具と言えば、この3点セットになるでしょうか?地方によって少し違うかもしれませんが、それでもお馴染みの3点だと思います。当時は、こんなふうに3つ同時に依頼されたのは初めてでした。意外にこんな風におそろいの色で3点が揃うということは、この時が初だったのです。
わたしの家には試作品やボツになった失敗作がたくさんありますが、自分が使う分に関しては、色や形がバラバラの試作品ですし、こんな風に同時に同じ雰囲気の革ケースをつくることがこの時までありませんでした。なので、こんな風に3つ揃えての記念写真が珍しく残っています。
この革ケースは目立たない?そんなにないもののはずなんだが、、、
ところで、この革ケースセットを使っていたら、結構目立ちませんかね?市販の革ケースとも形が違うだけでなく、こんな風に色が入っている革ケースは他にないですから。仮に、わたしに革ケース作成の趣味がなく、はじめてこれを見たら、思わず気になって「どこで買ったの?」って聞いちゃうと思うんです。
ところが、これを使っている本人の後日談として、「せっかくこんなのつけてるのに誰も何も言わないんだよね~」と不満げでした。もちろん本人が気に入ったからわたしに頼んだんでしょうし、オサレしてお出かけしてるのと同じで、何か察してほしいし、声でもかけられればまんざらでもないというのはあると思うんですよね。
ところが、ことごとくスルー。もちろん、お客さんに言われることはありませんし、同業者と仕事していても何も言われないのだそうです。お客さんは素人だから、そんなもの気にしていないのはわかりますが、少なくとも同業者からは、視界に入った瞬間とまで言わなくても、休憩時の雑談なんかで話題に上っても良さそうなものです。一応付け加えておくと、この人が話しかけづらいというのはないです。どちらかというと気さくで、話しかけやすいタイプなので、余計にこのことが少しも話題にならないことがちょっと残念なようでした。
オリジナル革ケース 注目されず?
でも、このことに関して、わたしにはよくわかりますよ。自分自身、オリジナル革ケースのことについて聞かれることはまずありませんからね。こんな風に革ケースをつくっていると、個人的には思い入れがあって特別なものなのですが、興味のない人にはどうでもいいことですし、恐らくそんなもの何も見ていないのだと思います。
つくりはじめの頃は、割とまじめに、すべての植木屋待望の革ケース登場!植木屋はもっと格好良くなろう!という気持ちもままありましたが、今ではそんなことどうでもよくなってきました。悪く言えば、目的が先鋭化し、より内向きになったという感じです。あくまで個人的にやっていることですし、本来はそれでいいのですよ。人それぞれ関心事は違うわけで、虚栄心のためにやっているわけではないということです。
作者としてはそんな感じなんですが、注文した方は、事情が少し違うのかもしれませんね。ご期待に添えずスミマセン。
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